様々な昧わいのおせち料理を生かすシャンパンの甘み
このページでは、新しい年祝い、正月にいただくおせち料理に合うシャンパンを紹介します。
まず1本目は「ポル・ロジェリッチNV」です。
「ドゥミーセック(※1)なので甘みが強く、親しみやすい。洋梨の砂糖煮を思わせる甘やかさがあり、お酒に強くない方も飲めるので、家族の集まりで乾杯するのに向いています。
- シャンパーニュの甘口・辛口の度合いを示す区分のひとつ。
- 直訳するとドゥミ(demi)はフランス語で「半分の」、セック(sec)は「辛口の」となるとおり、「半辛口(「半甘口」)」にあたります。
とりわけ甘いおせち料理と相性が良く、甘さ同士が口の中で重なると、料理の旨みに濃淡や幅が出る効果があります。
味の濃い料理にも渡り合う
次のお薦めは「テルモン レゼルヴ・ロゼ」です。
ぶどう本来の良さを生かした、自然な味わいが大きな魅力で、淡い桜色をしたロゼゆえ、注いだ時に華やぎもあります。
「シャルドネの比率が高く、ピュアでミネラル感に満ちた現代的なロゼです。
おせちの様々な味わいすべてに寄り添い料理を生かす
保存食のおせちは甘味、酸味、塩味の強いものが多いですが、その様々な味わいすべてに寄り添って料理を生かしてくれます。
より濃くを求めるなら「ドゥ ヴノージュ プランス ブラン ド ノワール」を選ぶといいでしょう。
リザーブワイン(※2)の比率が高く、複雑性や旨み、深みがあります。
- シャンパンュをつくる際、最新ヴィンテージのワインに、それよりも前につくられたワインをブレンドすることが多く、このブレンド用にとっておいたワインのことを「リザーブワイン」といいます。
黒系ぶどうのピノ・ノワールが原料なので味つけの濃いおせちや中華料理にも負けずに、互角に渡り合ってくれます。口中で酒と料理の複雑性が互いに増幅する美食の組み合わせです。
おせち料理に合わせたいシャンパン3選
ポル・ロジェリッチNV
- 「ポル・ロジェリッチNV」(NVは(※3)ノン・ヴィンテージの略)。
- 1849年に設立された家族経営の造り手。半甘口だが後味にはほんのりとした苦みや酸味もあり、全体の味わいを引き締めています。
- 収穫年の異なる複数のプドウ品種をブレンド(アッサンブラージュ)し造るシャンパンです。
- シャンパン全生産量の80%以上を占め、生産者のスタイルがよくわかります。
- NVがおいしけれぱ、他のも間違いなし。瓶内での最低熟成期間は15ヶ月。トップ生産者2~3年熟成させます。
テルモン レゼルヴ・ロゼ
おせちの個別料理とシャンパン
黒豆
- しっかり甘く煮しめた黒豆は、同じく甘さを持つシャンパンと合わせると、後味がきれいにまとまります。
からすみ
- ワインだと生臭みが出る魚卵系も、長期熟成のシャンパンはきちんと受け止めてくれるので、問題ありません。
栗きんとん
- 今回紹介した3本すべてのシャンパンともよく合います。
- それぞれ違う相性が楽しめるので、ぜひ試してください。
伊達巻き
- どのシャンパンもいいですが、ロゼは赤い果実の風味が伊達巻きの味わいと相乗して面白い組み合わせです。
田作り
- 小魚特有の苦みを持つ田作り。
- 甘みの強いシャンパンと一緒に食べると、複雑性が増してとても美味しく感じます。
百合根甘煮(ゆりねあまに)
- 「百合根はロゼのイチゴやすぐりの香りが加わると抜群です。
- 洋梨の風味を持つ「ポル・ロジェリッチNV」もお薦め。
上記の情報の引用先;
- サライ 2023年 01月号 P72-P73(小学館)
- 東京・赤坂『乃木坂 しん』のオーナーソムリエ飛田泰秀氏監修を大幅書き直し。